今回は、離婚の話し合いをしているご主人から、親権者になれない場合の監護権についてのご相談です。
結論:監護・養育は問題ないが、財産管理に問題があるような場合や、父母双方が関与することが子供の健全な成長にとってよい場合、父母とも監護が不可能又は不適当な場合に第三者に子供を監護させる場合等には、監護者となる可能性があります。
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1.ご相談者
40代の男性(会社員)
①妻は40代(主婦)
②婚姻期間は12年
③小学生が1人、幼稚園児が1人
2.ご相談の内容
現在、妻と離婚の話をしていますが、親権をどちらにするのかで揉めています。
親権の他に監護権があると聞いたのですが、私が親権者になれない場合に、監護権を持つことはできるでしょうか?
3.ご相談への回答
親権者と監護権者は一致するのが原則で、親権者と監護権者を分けるのは例外です。
親権者にはなれないが、監護権者となるためには、親権者と監護権者を分ける必要があり、しかも、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、子供の福祉の観点から監護権者として相応しいと判断された場合に監護権者となることができます。
(1)監護権って親権とどう違うの?
監護権とは、子供を監督、保護し、養育すること(身上監護)をいいます(民法766条)。
離婚する場合には、父母のどちらか一方を子供の親権者と決める必要がありますが(民法819条)、親権は子供の身上の監護と財産の管理を内容とします。
したがって、親権と監護権とは、身上監護の点で重なることになり、親権者を決めておけば、それとは別に監護権者を決める必要はありません。
(2)どんな場合に監護権が認められるの?
このように、親権者を決めておけば、それとは別に監護権者を決める必要はありませんし、身上監護権と財産管理権とをそれぞれ別の親に帰属させると、それぞれ対応が異なって、かえって不都合が生じるので、親権者と監護権者は一致するのが原則です。
ただ、監護・養育は問題ないが、財産管理に問題があるような場合や、父母双方が関与することが子供の健全な成長にとってよい場合、父母とも監護が不可能又は不適当な場合に第三者に子供を監護させる場合等には親権者とは別に監護権者を決める必要があります。
また、離婚する前に別居していて子供を奪い合っているような場合にも、父母のどちらか一方を監護権者と決めることもあります。
例えば、次のような場合があります。
(ケース1)
①事案:妻が子供に夫を拒絶するよう仕向け、面会交流を妨害していることを理由に、夫が妻に対して親権者の変更を請求
②結論:夫が親権者、妻が監護権者になった
③ポイント:面会交流の確保のために夫を親権者に変更する必要があった、妻に監護を継続させた方が子供の負担が少なかった
④判例:裁判所は、夫が面会交流の確保を条件に妻を親権者とすることに同意したのに、妻の言動により子供が面会交流を拒否するようになったこと、履行勧告や第三者機関の利用によっても面会交流が実現されず、親権者変更以外に面会交流実現の手段がないこと、従来、交代で監護して最低限の協力関係があり、夫の監護は妻の監護と比べて甲乙つけ難く、親権者として監護養育の十分な実績と能力があること、妻による監護を継続させた方が子供の負担が少ないことを理由に、親権者を妻から夫に変更し、監護権者は妻としました(福岡家裁平成26年12月4日審判)。
(ケース2)
①事案:親権者を夫とする離婚届を提出した夫に対して、妻が親権の変更を請求
②結論:夫が親権者、妻が監護権者になった
③ポイント:妻の監護能力に問題がなかった、妻の金銭管理能力に問題があった
④判例:裁判所は、母親としての監護能力に問題はなく、2人の子供は母と暮らすことを希望し、もう1人の子供は女児の幼児で母親の下で養育されるのがより適切であるから、子供の監護は母親に任せるのが子の福祉に適うとする一方、母親は、消費者金融から多額の借入をし、高額商品を換金し、その使途も不明であり、金銭管理能力に大きな不安があることを理由に、親権者を父親とし、監護権者を母親としました(横浜家裁平成21年1月6日審判)。
(ケース3)
①事案:妻の母(祖母)が夫婦の子供(孫)の監護権者の指定を請求
②結論:祖母が監護権者になった
③ポイント:祖母が孫を適切に監護していた、父母に監護者の適格性や監護の意欲がなかった
④判例:裁判所は、祖母は、既に孫と同居して適切に監護し、孫も祖母に自然な愛情を感じているから、祖母が孫の監護を継続することが子の福祉に合致する一方、孫は、父母によい感情を有しておらず、父は孫の姉を虐待して死亡させ、母も孫を祖母に預けると述べて、責任ある養育態度や監護に対する意欲を見せていないことを理由に、監護権者を祖母としました(金沢家裁七尾支部平成17年3月11日審判)。
(3)どうやって監護権者を決めるの?
離婚するにあたって、特に監護権者を決める必要がある場合、まずは協議によって決めますが、協議でまとまらなかった場合には、家庭裁判所で決めることになります。
裁判所は、監護権者を決めるにあたって、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、どちらが監護するのが子供の福祉に合致するかという観点から判断します。
具体的には、父母の事情として、父母の監護の能力や意欲、経済状況、家庭環境、これまでの監護の状況等が考慮され、子供の事情として、子供の年齢、性別、兄弟姉妹の有無、発育状況、子供の意向、環境への適応状況等が考慮されます。
このような事情をもとに、監護の継続性を尊重すべきとする原則や、乳幼児については母親を優先させるべきとする原則、子供の意思を尊重すべきとする原則、兄弟姉妹は分離すべきでないとする原則、面会交流に寛容な親を優先すべきとする原則等を基準として、最終的に監護権者を決定します。
4.ご相談者へのアドバイス
ご相談者の場合、親権で揉めているということなので、まだ、どちらを親権者とするのか決まっていない状況だと思いますが、親権者が決まっておらず、子供を奪い合っているような場合には、裁判で監護者をどちらにするかを決めることになり、その場合に父親が監護権者となることはありえます。
ただ、ご相談者の質問が「親権が取れないので、何とか監護権を取りたい」ということだとすると、親権者と監護権者は一致するのが原則なので、親権者と監護権者を分ける必要があり、しかも、子供にとってご相談者が監護権者になるのがふさわしいという事情がないと監護権者になるのは難しいでしょう。
その場合は、面会交流の交渉が重要になります。
5.今回のポイント
親権と監護権とは、身上監護の点で重なるので、親権者を決めておけば、それとは別に監護権者を決める必要はありません。
親権者と監護権者は一致するのが原則ですが、親権者とは別に監護権者を決める場合もあります。
監護権者を決めるにあたっては、父母の事情と、子供の事情を総合的に判断して、どちらが監護するのが子供の福祉に合致するかという観点から判断します。
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7.弁護士費用(税別)
① 離婚交渉・調停事件
着手金 30万円(さらに10%OFF)
報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)
※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。
② 離婚訴訟事件
着手金 40万円(さらに10%OFF)
報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)
※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。
③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)
300万円以下の場合 16%
300万円を超えて3000万円までの場合 10%+18万円
3000万円を超えて3億円までの場合 6%+138万円
④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)
1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額
⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)
着手金 15万円
報酬金 0円
⑥ 着手金以外に日当は発生しません。
その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。