お母様を亡くされた二男様から、誰が墓地を承継するかについてのご相談です。
1.ご相談者
50代の男性
①被相続人
70代の母
②相続人
ご相談者(二男)と長男
2.ご相談の内容
母が亡くなりました。兄と遺産について話をしているのですが、兄から「自分が長男だから長男が墓地を承継するのが当たり前」と言われています。
これまで、兄は母と音信不通で、私が母の面倒を看てきたのですが、このような場合にも、兄が墓地を承継するのでしょうか?
3.ご相談への回答
墓地の承継者は、家庭裁判所が総合的に判断して決めます。
(1)墓地の承継はどうやって決めるの?
相続にあたって、系譜(系図、過去帳など)、祭具(位牌、仏壇など)、墳墓(墓石など)は、遺産として扱われません。
これらの祭祀財産は、祭祀承継者が指定されている場合には、指定された人が承継し、指定がない場合には、慣習によって承継者が決められます(民法897条1項)。
また、慣習が明らかでない場合には、家庭裁判所が決めることになります(民法897条2項)。
墓地も、通常、祭祀財産として扱われるので、上記の順序によって祭祀承継者が決められることになります。
ちなみに、家督相続の考え方は慣習ではありません。
(2)家庭裁判所ではどうやって決めるの?
家庭裁判所は、審判によって祭祀承継者を決めます。
祭祀承継者を決めるにあたっては、承継する人と亡くなった人との身分関係や生活関係、祭祀財産の場所、管理の経緯、承継する人の意思・能力等が考慮されますが、総合的な判断によるので、誰が承継者になるかはケースバイケースと言えます。
(3)どんな場合があるの?
例えば、離婚した後亡くなったAの子供が、Aから遺言で全ての財産を贈与された実母に対して、自分が祭祀承継者であることを求めた事案がありました。
この事案で、裁判所は、「実母に全ての財産を贈与するとの遺言はあるが、祭祀承継者の指定とは異なる面がある。」とした上で、「実母も子供もAとの身分関係という点では優劣がつけがたく、生活関係からすれば、実母に分があるように考えられるが、祭祀の将来的な継続性の観点からすれば、高齢の実母より子供の方が長期にわたって安定した祭祀が行える。」として、子供を祭祀承継者と指定しました(福岡高裁平成19年2月5日決定)。
この事案では、実母の方が遺言もあり、生活関係については実母に分があるとされながら、長期にわたる安定した祭祀が重視されて子供が祭祀承継者と指定されたもので、なかなか難しい面があるといえます。
4.ご相談者へのアドバイス
ご相談者の場合、遺言などで明確に祭祀承継者が指定されていないので、最終的に家庭裁判所で祭祀承継者を決めることになります。
その場合、祭祀承継者は、承継する人と亡くなった人との身分関係や生活関係、祭祀財産の場所、管理の経緯、承継する人の意思・能力等を踏まえて総合的に判断されることになります。
あなたの場合、これまでお母様の面倒を看てきたということですし、お兄様はこれまで音信不通だったということですので、あなたが祭祀承継者に指定される可能性が高いと言えます。
5.今回のポイント
系譜(系図、過去帳など)、祭具(位牌、仏壇など)、墳墓(墓石など)は、遺産として扱われません。
祭祀財産は、祭祀承継者が指定されている場合には、指定された人が承継し、指定がない場合には、慣習によって承継者を決めますが、慣習が明らかでない場合には、家庭裁判所が決めることになります。
祭祀承継者を決めるにあたっては、承継する人と亡くなった人との身分関係や生活関係、祭祀財産の場所、管理の経緯、承継する人の意思・能力等が考慮されます。
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