お父様を亡くされた二男様から、遺留分についてのご相談です。
1.ご相談者
60代の男性
①被相続人
80代の父
②相続人
ご相談者(二男)、長男
③遺産
現金、預金、不動産
2.ご相談の内容
父が亡くなってしばらくしてから、長男から自分が全財産を相続する父の遺言があると言われました。
私は一切財産をもらえないのでしょうか。
3.ご相談への回答
遺留分として一定の割合の相続財産を取得することができます。
(1)遺留分って何?
遺留分とは、一定の割合について保障される相続財産上の利益のことを言います。
したがって、全ての相続財産を1人の相続人に相続させる遺言があったとしても、少なくとも遺留分については相続財産を取得することができます。
(2)遺留分は誰がもらえるの?
遺留分は、相続人であれば必ず保障されるわけではありません。
遺留分は、妻、子、直系尊属(被相続人の父母)には保障されますが、兄弟姉妹には保障されていません(民法1028条)。
(3)遺留分の割合ってどれくらい?
遺留分として保障される割合は相続人によって違います。
直系尊属だけが相続人の場合、遺留分の割合は相続財産の3分の1です。
それ以外の場合は、遺留分の割合は相続財産の2分1のです。例えば、相続人が配偶者だけ、子供だけ、配偶者と子供といった場合がこれに当たります。
(4)遺留分の計算ってどうやるの?
具体的に遺留分を計算してみましょう。
例えば、相続財産が4000万円で、相続人は妻と子供2人、子供1人に全部を相続させる遺言がされたとします。この場合、相続人は妻と子供なので、遺留分の割合は2分の1です。妻の法定相続分は2分の1、子供の法定相続分は4分の1なので、妻の遺留分は4分の1、子供の遺留分は8分の1になります。したがって、妻は1000万円、子供は500万円を遺留分として取得します。
また、相続財産が3000万円で、相続人が子供3人、子供1人に全部を相続させる遺言がされた場合、相続人は子供だけなので、遺留分の割合は2分の1です。子供の法定相続分は3分の1なので、遺留分は6分の1になります。したがって、子供はそれぞれ500万円ずつを遺留分として取得します。
(5)遺留分を請求するにはどうすればいいの?
遺留分を侵害された人は、遺留分を侵害した人に対して贈与や遺贈(遺言による贈与)の効力を喪失させることができます。
これを遺留分減殺(げんさい)請求と言います(民法1031条)。
遺留分減殺請求は、後日減殺請求したことを明確にするために内容証明郵便でするのが一般的です。
遺留分減殺請求は、相続の開始と減殺すべき贈与や遺贈を知ったときから1年以内にしないと時効で消滅してしまします(民法1042条)。
4.ご相談者へのアドバイス
ご相談者の場合、長男が全財産を取得するのですから、二男や三男が遺留分を侵害されることは明らかです。したがって、二男や三男は、長男に対して遺留分減殺請求をし、遺留分を請求することができます。
遺留分減殺請求は、1年で時効消滅してしまうので、早めに内容証明郵便で請求するとよいでしょう。
5.今回のポイント
遺留分は、妻、子、直系尊属(被相続人の父母)には保障されますが、兄弟姉妹には保障されていません。
遺留分の割合は、直系尊属だけが相続人の場合は相続財産の3分の1、それ以外の場合は相続財産の2分1のです。
遺留分減殺請求は、後日減殺請求したことを明確にするために内容証明郵便でするのが一般的です。
遺留分減殺請求は、相続の開始と減殺すべき贈与や遺贈を知ったときから1年以内にしないと時効で消滅してしまします。
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弁護士費用(税別)
① 遺産分割調停事件
着手金 20万円
報酬金 遺産分割で得た金額の報酬額(③)
③ 遺留分減殺請求訴訟・遺言無効確認請求訴訟等
着手金 25万円
報酬金 訴訟で得た金額の報酬額(③)
③ 遺産分割・訴訟で得た金額の報酬額
300万円以下の場合 16%
300万円を超えて3000万円までの場合 10%+18万円
3000万円を超えて3億円までの場合 6%+138万円
④ 着手金以外に日当は発生しません。
その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。
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