お父様を亡くされたご長男から、生命保険金での借金の返済についてのご相談です。
1.ご相談者
50代の男性
①被相続人
80代の父
②相続人
ご相談者(長男)と二男
2.ご相談の内容
父が亡くなりました。父には、生前、多額の借金があったので、二男と一緒に相続放棄をしました。他方、父は、受取人を相続人として生命保険を掛けていたので、私と二男が生命保険金を受け取りました。
ところが、債権者から、「保険金を受け取ったなら、借金を払え。」と言われています。生命保険金から借金を払わないといけないのでしょうか?
3.ご相談への回答
生命保険金で借金を返済する必要はありません。
(1)生命保険金は相続財産にならないの?
生命保険金は、相続財産になりません。
生命保険の保険料は、死亡した人が払っていますが、相続財産は、死亡したときにその人に帰属している財産のことを言うので、死亡によって初めて発生する保険金請求権は相続財産にはなりません。
したがって、生命保険金で借金を払う必要はありません。
(2)どんな場合があるの?
例えば、遺言によって相続財産の全部を受け取ることになっている第三者のXが、相続人のYに対して、受取人が「相続人」と指定されている養老保険金を請求した事案がありました。
この事案で、最高裁は、「保険金受取人としてその請求権発生当時の相続人たるべき個人を特に指定した場合には、右請求権は、保険契約の効力発生と同時に相続人の固有財産となる」と判断しました(最高裁昭和40年2月2日判決)。
また、自動車を被相続人に販売した者Xが、限定承認(プラスの財産の限度でしか債務を負担しないこと)をし、かつ、保険金を受け取った相続人Yに対し、自動車の未払い代金を請求した事案がありました。
この事案でも、最高裁は、同様に「保険金請求権は、相続人が保険契約に基づく固有の権利として取得したもので、被相続人の財産には属しない」と判断して、未払い代金の請求を認めませんでした(最高裁昭和48年6月29日判決)。
なお、この事案は、受取人が指定されておらず、保険約款に被保険者の相続人に支払うとの条項があった場合でした。
4.ご相談者へのアドバイス
ご相談者の場合、相続放棄をした以上、一切の債務を負う必要はありません。
生命保険金は相続財産ではないので、お父様の借金を払う必要はありません。
5.ご相談後の対応
債権者から催促がしつこいため、生命保険金が相続財産にあたらず、借金を返済する必要がない旨の内容証明を送りました。
債権者から猛烈な抗議がありましたが、最終的には納得してもらいました。
6.今回のポイント
生命保険金は、相続財産ではありません。
したがって、生命保険金で借金を払う必要はありません。
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