今回は、モラハラ(精神的DV)の妻に離婚を拒否されているご主人から、モラハラ(精神的DV)の妻と離婚する方法についてのご相談です。
結論:離婚を拒否されている場合は、調停をした後、訴訟によって離婚するしかありません。
詳しくは下記のブログをお読みください。
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1.ご相談者
50代の男性(公務員)
①妻は50代(会社員)
②婚姻期間は21年
③高校生の長女
2.ご相談の内容
妻は自己中心的で、長年、私のことを無視し、溜息や舌打ちをする一方、何か気にいらないことがあると怒り狂って「稼ぎが悪い」「能力がない」「馬鹿だ」「使えない」「誤れ」等と罵り、人を馬鹿にします。何年も妻からモラハラ(精神的DV)を受けているせいか、妻といるだけで動悸が激しくなり、体調がすぐれません。
妻には離婚したいと言っているのですが、嫌がらせで離婚を拒否されています。どうしたら離婚できるでしょうか?
3.ご相談への回答
離婚を拒否されている場合、調停をした上で、訴訟によって離婚するほかありません。
訴訟の場合、離婚原因が認められないと離婚できないので、モラハラ(精神的DV)によって夫婦関係が回復できないほど破綻していることを証明(立証)する必要がありますが、まずは別居することが必要です。
(1)離婚を拒否されたとき、どうしたら離婚できるの?
離婚の多くは、夫婦の話し合いによる合意によって成立しますが(協議離婚)、相手がどうしても離婚に応じない場合には、裁判によって離婚するしかありません。
裁判で離婚する方法としては、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の3つがあります。
調停離婚は、調停での合意によって離婚が成立する方法です。
審判離婚は、家庭裁判所が相当と認めたときに、当事者の衡平を考慮し、一切の事情を考慮して審判することによって離婚が成立する方法です。ただ、審判離婚となることはあまりありません。
裁判離婚は、訴訟で離婚原因が認められた場合に離婚が成立する方法です。
離婚について訴訟を提起するためには、その前に離婚調停をする必要があります(調停前置主義)。したがって、離婚を拒否されたときは、家庭裁判所に離婚の調停の申立てをすることになります。
(2)どんな場合でも離婚できるの?
調停で離婚しようとする場合(調停離婚)、夫婦間で離婚の合意ができればよいので、法律が定める離婚原因がある必要はありません。
これに対して、訴訟を提起して離婚しようとする場合(裁判離婚)、法律が定める離婚原因が必要です。
法定の離婚原因には、①不貞行為(浮気・不倫)、②悪意の遺棄(同居・扶養の拒否)、③3年以上の生死不明、④強度の精神病による回復不能、⑤婚姻を継続しがたい重大な事由があります。
そのため、調停で離婚の合意ができなければ、法定の離婚原因がないと離婚できないことになります。
(3)モラハラ(精神的DV)が原因で離婚できるの?
モラハラ(精神的DV)とは、言葉や態度によって相手の人格を傷つける精神的な暴力をいいます。例えば、暴言、侮辱、無視、ため息、舌打ち、物を壊す、説教や報告を求める等の行為の強制などがあります。
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV法)でも、「配偶者の暴力」の中に、生命または身体に危害を及ぼすような心身に有害な影響を及ぼす言動が含まれ、このような言動から夫婦の一方を保護することが求められています。
したがって、モラハラ(精神的DV)も当然に離婚原因になり、夫婦関係が回復できないほど破綻している場合には、「婚姻を継続しがたい事由」にあたり、離婚することができます。
夫婦関係が回復できないほど破綻しているかどうかは、モラハラ(精神的DV)の態様(内容、回数、期間、原因、被害者の落ち度の有無、精神的疾患の有無等)、相手の離婚の意思、夫婦の年齢、婚姻期間、資産・収入、子供の有無等、一切の事情を考慮して判断されます。
(ケース1)
①事案:妻が夫に対して、暴言・暴力を理由に離婚を請求
②結論:離婚を認めた
③ポイント:婚姻期間20年3か月、婚姻後からモラハラが繰り返され、執拗に責められた、別居前数年を除いて暴力を振るわれていた、PTSDになった
④判例:裁判所は、夫が持病のある妻に対して「さっさと心臓移植でもして来い。」「なぜ入院した。人の不便も考えろ。」「いつまでもぐずぐずしやがって。」等と暴言を吐いたこと、頭や顔を殴ったり、蹴ったりしたこと、一晩中廊下に座らさせて文句を言い続けたこと、午前3時に食事を作ることを強要し、テーブルを叩いたり、床を蹴ったりしたこと、妻がPTSDの診断を受けたこと等を理由に、長年にわたる身体的精神的虐待がなされ、別居が継続し、もはや修復の余地がなく、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして離婚を認めました(東京地裁平成17年3月15日判決)。
(ケース2)
①事案:妻が夫の暴言・暴力・モラハラを理由に離婚を請求
②結論:離婚を認めなかった
③ポイント:婚姻期間10年、子供9歳、モラハラが存在しないか、その程度が低い、妻にも落ち度がある、別居期間が3年5か月しかない
④判例:裁判所は、妻が婚姻関係の破綻原因と主張する事実は、存在しないか、存在するとしても、性格・考え方の違いや感情・言葉の行き違いに端を発するもので、夫のみが責を負うというものではないこと、妻は一人で決める傾向があり、感情的になって夫の意見を受け入れないこと、夫も口論の際に大声を出すなど配慮を欠いた言動があったが、反省して修復を強く望み、子供との関係が良好に保たれていることを理由に、未だ修復の可能性がないとはいえず、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとまではいえないとして、離婚を認めませんでした(東京家裁立川支部平成27年1月20日判決)。
このように、モラハラ(精神的DV)と言っても程度は様々で、単にモラハラ(精神的DV)があっただけでは足りません。モラハラ(精神的DV)を理由に離婚するためには、夫婦関係が回復できないほど破綻していることが必要です。
(4)モラハラ(精神的DV)ってどうやって証明(立証)すればいいの?
身体への暴力であれば、怪我という目に見える結果が発生するので分かりやすいですが、モラハラ(精神的DV)の場合、必ずしも目に見えるわけではないので、客観的に証明(立証)するのが難しいといえます。
モラハラ(精神的DV)を証明する手段としては、①相手の言動を録音するのが最も効果的です。録音によって、相手が言っている内容だけでなく、怒鳴っている等、どのような口調で話しているのかがよく分かるので、裁判官にも十分理解してもらうことができます。
また、モラハラ(精神的DV)がメールやLINE等で行われている場合には、その内容自体がモラハラ(精神的DV)に当たるので、②メールやLINEを保存しておくとよいでしょう。
録音できない場合には、③日記やメモで相手の言動を書き留めておくと証拠として利用することができます。ただ、日記やメモは被害者自身が作成するので、録音やメール・LINEよりは証拠としての価値は低くなってしまいます。
他にも、モラハラ(精神的DV)によってうつ病や不安障害等といった症状が発生したときは、④医師の診察を受けて診断書を書いてもらうのもよいでしょう。
(5)離婚が認められなかったらどうすればいいの?
離婚するにあたって訴訟で勝てるだけの証拠がない場合や、証拠があったとしても破綻しているとまでは言えないような場合には、離婚原因がないので訴訟では離婚できません。
そのような場合にどうしても離婚したいということであれば、離婚原因を必要とせずに離婚できる調停離婚を目指すことになります。
ただ、離婚の合意ができなければ、調停離婚できないので、その点が難しいところです。
それでも、離婚したいというのであれば、時間はかかりますが、長期間別居した後、改めて離婚を請求することになります。
4.ご相談者へのアドバイス
ご相談者の場合、離婚を拒否されているということなので、調停で離婚するのは難しそうです。
訴訟になった場合、奥様から無視、溜息、舌打ち、「稼ぎが悪い」等の暴言を受けているということなので、十分モラハラ(精神的DV)といえます。これによって夫婦生活が回復できないほど破綻しているといえれば、「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたり、離婚することができます。
後は、モラハラ(精神的DV)を証明(立証)するため、奥様の言動を録音するなどして証拠を確保し、別居しましょう。
5.今回のポイント
相手が話し合いで離婚に応じない場合には、まず、家庭裁判所に離婚の調停の申立てをする必要がありますが(調停前置主義)、調停で離婚の合意ができない場合には、離婚の訴訟を提起することになります(裁判離婚)。
訴訟を提起して離婚しようとする場合、法律が定める離婚原因がなければ離婚することができません。
モラハラ(精神的DV)も、夫婦関係が回復できないほど破綻している場合には、「婚姻を継続しがたい事由」にあたり、離婚することができます。
夫婦関係が回復できないほど破綻しているかどうかは、モラハラ(精神的DV)の態様(内容、回数、期間、原因、被害者の落ち度の有無、精神的疾患の有無等)、相手の離婚の意思、夫婦の年齢、婚姻期間、資産・収入、子供の有無等、一切の事情を考慮して判断されます。
モラハラ(精神的DV)を証明する手段としては、①相手の言動を録音するのが最も効果的です。他にも、②メールやLINEを保存したり、③日記やメモで相手の言動を書き留めたり、④医師の診察を受けて診断書を書いてもらうのもよいでしょう。
離婚するにあたって訴訟で勝てるだけの証拠がない場合や、証拠があったとしても破綻しているとまでは言えないような場合でも、どうしても離婚したいのであれば、長期間別居した後、改めて離婚を請求することになります。
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7.弁護士費用(税別)
① 離婚交渉・調停事件
着手金 30万円(さらに10%OFF)
報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)
※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。
② 離婚訴訟事件
着手金 40万円(さらに10%OFF)
報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)
※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。
③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)
300万円以下の場合 16%
300万円を超えて3000万円までの場合 10%+18万円
3000万円を超えて3億円までの場合 6%+138万円
④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)
1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額
⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)
着手金 15万円
報酬金 0円
⑥ 着手金以外に日当は発生しません。
その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。