妻が子供との面会交流の審判に応じないご主人から、面会を強制する方法についてのご相談です。
結論:強制的に子供を連れてきて面会させることはできませんが、間接的な強制執行は認められる場合があります。
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1.ご相談者
40代の男性(会社員)
①妻は30代(主婦)
②婚姻期間は11年
③小学生の子供1人
2.ご相談の内容
妻が子供を連れて実家に帰り、離婚調停を申し立ててきたので、私は子供に面会させるよう面会交流の申立てをし、毎月1回子供に面会させる審判が出ました。
ところが、私が妻に面会を求めても、子供の体調が悪いとか、子供が行きたくないと言っているなどと言って、子供に会わせてくれません。
どうしたら妻に子供との面会を強制させることができるでしょうか?
3.ご相談への回答
子供との面会を実現する方法として、強制執行することができますが、強制的に子供を連れてきて面会させること(直接強制)は認められておらず、面会の命令に従わなかった場合に、金銭の支払を命じること(間接強制)しかできません。
(1)子供との面会を実現するためにどんな方法があるの?
子供を監護養育していない親には、子供と面会すること(面会交流)が認められていますが、面会について合意できなかったり、子供との面会を拒否されたりした場合には、家庭裁判所に、子の監護に関する処分(面会交流)の調停・審判の申立てをして、子供との面会交流を求めます。
調停や審判で子供との面会の方法が決められると、多くの場合、その方法に従って子供との面会が実施されますが、面会交流が認められたのに、相手方が子供と面会させないこともあります。
そのような場合、子供との面会を実現する方法として、①履行勧告、②再調停、③強制執行の3つの方法があります。
(2)履行勧告って何をするの?
履行勧告は、家庭裁判所が調停や審判で定められた面会の履行状況を調査して、面会の履行を勧告します。
家庭裁判所が勧告するので、それなりに意味はありますし、費用もかからないので、簡単にすることができます。
ただ、あくまで勧告でしかなく、強制力がないので、相手が勧告に従わなければ意味はありません。
(3)再調停って何をするの?
再調停は、もう一度面会交流の調停を申し立てて、再度話し合いをします。
相手が面会させないのは、何らかの理由があるのが普通なので、その点について話し合うことで、面会交流が上手く行くこともあります。
ただ、相手が調停に応じなかったり、調停をしても合意ができなければ意味はありません。
(4)強制執行って何をするの?
強制執行は、子供との面会の実現を強制する措置を取ります。
ただ、強制執行といっても、面会交流は子供の引渡だけでなく、面会させることまで含まれ、直接強制に馴染まないとされているので、強制的に子供を連れてきて面会させること(直接強制)は認められていません。
そのため、面会交流の強制執行は、相手方に調停や審判の内容を行うように命令し、その命令に従わなかった場合に、金銭の支払を命じる方法(間接強制)によって、面会させることになります。
このように、強制執行といっても、強制的に子供を連れて来て面会させることができないので、その点で限界があります。
(5)どんな場合に間接強制が認められるの?
調停や審判で決められた面会交流を履行しない場合には、正当な理由がない限り、間接強制によって面会交流を実現することができます(大阪高裁平成14年1月15日決定)。
逆に、子供を監護している親に、面会交流をしない正当な理由がある場合や、面会と求める親に、面会交流の目的や方法・手段が不適当で権利の濫用にあたるような、間接強制を求めることができない特別の事情がある場合などには、間接強制が認められません。
たとえば、面会交流が子供に混乱を生じさせ、生活環境に悪影響を及ぼし、子供の福祉を害する場合や、面会交流が復縁目的の場合などには、間接強制が認められないとされています。
(ケース1)
①事案:「面会交流による高ストレスにより、母との交流は不可」との医師の診断があることを理由に、長男(8歳)との面会を拒否した父に、母が間接強制を請求
②結論:間接強制を認めた
③ポイント:子供が面会を拒否しているのは父の言動の可能性がある
④判例:裁判所は、子供が母と会いたくないとの意向を表明していることを前提に裁判所が面会交流を認めていること、父が面会に同行して子供に言葉をかけ、子供の忠誠葛藤を進行させた可能性があることを理由として、間接強制を認めました(東京高裁平成24年1月12日決定)。
(ケース2)
①事案:調停で合意した長男(2歳)との面会を拒否した元妻に対し、元夫が間接強制を請求
②結論:間接強制を認めた
③ポイント:面接交渉を拒否しているのは母である、面会によって子の福祉は害されない
④判例:裁判所は、長男は2歳であり、面接交渉が実現しないのは母親の意思に基づくこと、元妻が主張する、子供が面接交渉を拒絶している、面接交渉によって子供に情緒的混乱が生じた、面接交渉後、子供が風呂を怖がるようになった、面接交渉中、子供に適切な食事を取らせない等の事情は、面接交渉を拒否しうる阻害事由には当たらないことを理由に、間接強制を認めました(大阪高裁平成19年6月7日決定)。
なお、面会交流の間接強制をする場合には、面会の日時、場所、方法等について具体的に決められている必要があるので、注意が必要です。
(6)間接強制の金額はいくらくらい?
間接強制の際の金銭の支払額は、面会交流の履行を担保するためのものなので、面会させる親の収入によって決まります。
(ケース1)
①事案:先程のケース1
②結論:面会の不履行1回につき8万円
③ポイント:父の収入が以前に高額だった、婚姻費用の支払がある
④判例:裁判所は、以前の夫の収入が650万円であったこと、現在は収入がないこと、婚姻費用の支払が毎月5万円であることを理由に、面会の不履行1回につき8万円の支払を命じました(東京高裁平成24年1月12日決定)。
(ケース2)
①事案:先程のケース2
②結論:面会の不履行1回につき2万円
③ポイント:元妻が生活保護を受けている
④判例:裁判所は、元妻が実家の手伝いをしながら、生活保護を受けていることを理由に、面会の不履行1回につき2万円の支払を命じました(大阪高裁平成19年6月7日決定)。
4.ご相談者へのアドバイス
ご相談者の場合も、審判で毎月1回、子供に面会させることになったのですから、母親は、正当な理由なく面会を拒否することはできません。
子供の体調が悪いとか、子供が行きたくないと言っているという点については、本当に子供の体調が悪いのであれば仕方ありませんが、面会拒否が何回も続いているようだと、正当な理由とは言えない可能性があります。
ご相談者としては、①履行勧告、②再調停、③間接強制の中から選んで、母に対して子供と面会させるよう求めることになります。
この3つの方法の中でどれを選択するかは、相手のこれまでの対応にもよりますが、まずは、履行勧告から始めるのがよいでしょう。
それでも面会せてくれないのであれば、強制執行によるほかありません。
5.今回のポイント
調停や審判による面会交流を拒否された場合に、子供との面会を実現する方法として、①履行勧告、②再調停、③強制執行の3つの方法があります。
履行勧告は、家庭裁判所が調停や審判で定められた面会の履行状況を調査して、面会の履行を勧告しますが、費用がかからないので、簡単にできます。
強制執行といっても、強制的に子供を連れてきて面会させること(直接強制)は認められていません。
面会交流の強制執行は、相手方に調停や審判の内容を行うように命令し、その命令に従わなかった場合に、金銭の支払を命じる方法(間接強制)によってします。
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7.弁護士費用(税別)
① 離婚交渉・調停事件
着手金 30万円(さらに10%OFF)
報酬金 30万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)
※1 婚姻費用・養育費を請求する場合の着手金は、上記の着手金に含まれます。
② 離婚訴訟事件
着手金 40万円(さらに10%OFF)
報酬金 40万円(さらに10%OFF)+慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(③)
※1 離婚交渉・調停事件に引き続き離婚訴訟事件を依頼する場合の着手金は10万円(さらに10%OFF)となります。
③ 慰謝料・財産分与で得た金額の報酬額(さらに10%OFF)
300万円以下の場合 16%
300万円を超えて3000万円までの場合 10%+18万円
3000万円を超えて3億円までの場合 6%+138万円
④ 婚姻費用・養育費で得た報酬金(さらに10%OFF)
1か月の婚姻費用・養育費の2年分を基準として、③で算定した金額
⑤ DVによる保護命令の着手金・報酬金(さらに10%OFF)
着手金 15万円
報酬金 0円
⑥ 着手金以外に日当は発生しません。
その他に、印紙、郵券、交通費等の実費が発生します。